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マルチクラウドのの方程式を解き明かす

Unclouded Blog|Linode

今では、柔軟性の向上やロックインの低減など、マルチクラウドのメリットはよく知られるようになりました。 しかし、複雑さやコストへの懸念が高まる中、特に中小企業にとっては、マルチクラウドを採用することは必ずしも明白ではありません。

データをクラウド間で自由にやりとりできる相互運用性をプロバイダーが提供していなければ、せっかくの柔軟性も台無しになってしまいます。 さらに、誤って重複したサービスを購入してしまうと、コストが膨らみ、予算を重視する中小企業にとっては障害となります。 これらのリスクは、混雑した競争の激しい市場に直面しているクラウドユーザーにとって、ただでさえ難しい選択をさらに複雑にしています。 

Structure Research社のアナリストであるフPhil Shih氏は、「今こそクラウドの新時代の到来を告げる時だ」と述べています。 

「ベストフィットの時代」では、ユーザーは、さまざまなクラウドプロバイダーがマルチクラウドのニーズを満たす方法だけでなく、クラウドインフラ全体をどのように最適化するかを検討する必要があります。 「マルチクラウドの有効性とは、単に複数のプロバイダーと連携することではなく、それらの間で価値を創造することである」と語るPhil Shih氏との対談を以下に掲載します。

以下の書き起こしは若干編集されています

Mike Maney: 疑いの余地はありません。 マルチクラウドの導入は、企業のITが対応しなければいけない新しい現実です。 IDCによると、93%以上の企業が複数のインフラ クラウドを業務に利用しています。 その結果、ベンダーは需要に応えています。 これまでシングルクラウドを頑なに支持してきたMicrosoftやGoogleのプロバイダーでさえ、マルチクラウドに対応した環境を作るためにプラットフォームの変更を行っています。  

マルチクラウドを導入するのは当然のことのように思えますが、コストの増加や複雑さなどの要因により、効果的に実行するのは難しいと言わざるを得ません。 そこで本日は、Structure Research社のアナリストであるPhil Shih氏をお迎えして、マルチクラウドがもたらすメリットだけでなく、複雑さを克服してコストを管理する方法についてもお話を伺います。 

Phil、再度のご登場、ありがとうございます。 またお越しいただけて嬉しいです。 

Phil Shih: Mike、お招きいただきありがとうございます。 お話しをさせていただき、嬉しく思います。 

Mike Maney:さて、今日はマルチクラウドについて話を進めていきたいと思います。 本当にタイムリーな話題で、私たちも楽しめるものだと思います。 マルチクラウドはここ数年、特に2020年から2021年にかけて大きな成長を遂げていますが、その理由は明白で、スタートアップ企業から米国政府まで、誰もがマルチクラウドに注目しているからです。 

国防総省は100億ドルのおおきな契約を打ち切りましたが、これは大手企業を巻き込んだ大きな訴訟の中心となっています。 その代わりに、国防総省は新しいマルチクラウド・コンピューティング・イニシアチブを立ち上げようとしています。 IDCによると、62%の企業が、個々のプロバイダーの「最高」の能力を活用するためにマルチクラウドを選択しているそうです。 また、毎年素晴らしいレポートを発表しているFlexera社によると、CIOの68%が単一のベンダーのツールを使用しなければならないことや、必要に応じてデータを移動させる自由がないことを懸念しているとのことです。 まずは、マルチクラウドの魅力を伝えるための舞台作りから始めましょう。 マルチクラウドは、なぜ今のビジネスに適した戦略なのでしょうか?

Phil Shih: 素晴らしい指摘をしていただきました。 世の中の調査結果は、すべて同じ方向を向いていると思います。 少し前までは、マルチクラウドは単一のプラットフォームに賭けることではないと考えられていましたが、現在では、単一のプラットフォームに賭けることで、価値提案を理解し、クラウドに慣れ、マルチクラウドを利用することで、その有用性を拡大し、最大化することができるようになっています。  

俯瞰的に、第三者の観察者としての私にとっての価値は、マルチクラウドはリスク回避の良い方法だと思います。 これらのサービス、クラウドインフラ のサービスは非常にうまく機能していますが、 それらは人間によって運営されています。 人間が設計したものですから、不完全なものです。 ですから、一つのカゴにすべての卵を入れないというのは、確かに賢明なことだと思います。 別のレベルでは、おそらくITの意思決定者が最近一番頭を悩ませているのは、ツールセットではないでしょうか。  

単に生のコンピュートとストレージインフラ を考えるだけではなく、ツールセットや、クラウドベースのコンピューティング、ストレージインフラ 、人工知能 や機械学習などの耳にする流行のツールを使って何ができるのか、ということを考えているはずです。 機能の種類は多岐にわたり、 そして、それらは個々の、あるいは異なるクラウドインフラ のプロバイダーによって大きく異なります。 これがベースにあり、 

また、見落とされがちであまり言及されていないかもしれませんが、クラウドインフラ サービスはすべて、地理的に異なるフットプリントを持つ傾向があります。 パフォーマンスを重視してデータの所在地を気にするなら、さらに重要なのは、最終的に顧客の所在地、そしてユーザーが何を気にし、何を考えているかが決定に関わってきます。 繰り返しになりますが、それぞれのクラウドのフットプリントは異なります。 ですから、ツールセットの選択に加え、実際のサーバーがどこにあるのか、データセンターがどこにあるのか、どこの管轄区域にあるのか、エンドユーザーの大部分からどれくらい離れているのか、なども決定に関わってきます。 エンドユーザーがコンテンツやワークロードに長距離でアクセスすることは望ましくありません。 パフォーマンスに影響が出ますし、もちろん開発者やシステム管理者の仕事も増えてしまいますから。 

Mike Maney: ビッグ3であろうと代替プロバイダーであろうと、ハイパースケールプロバイダーが差別化を図る基準の1つは、大きな地理的フットプリントを持っていることだと思います。 冒頭の話に戻ると、 「最高」のプロバイダーとデュアルプロバイダーの違いとは何でしょうか? 最適な選択とは? また、「最高」のプロバイダーを選択することに反論はないのでしょうか?

Phil Shih: それは時と場合によるでしょう。 クラウドサービスをどのように利用するかというと、組織の能力にもよるし、何を達成しようとしているかにもよると思います。 例えば、デザイン会社の場合は、大量のコンテンツやニュースを扱うウェブサイトとは異なる要件があります。 エンドユーザーは、あなたが言うところの「最高」のようなもの、より自分でやるタイプのサービス、またはよりヘルプが多いタイプのサービス、あるいはその両方を組み合わせたサービスなどと、選択して利用することになると思います。

あなたの組織は、APIのユーザードキュメントを読みながら直接作業をして、問題なく、より技術的なユーザー体験に対応できるスタッフ、担当者がいる組織でしょうか? それとも、より直感的なGUIベースのインターフェイスを好む組織や、提供者からの手取り足取りの支援や援助、指導を望む組織でしょうか? 

どのようにオンデマンドで消費していくのでしょうか? 完全なエンド・ツー・エンドのサービスとしてもっと利用したいと思っているのでしょうか? このように、サービス体験やチーム、チーム全体、個々のチームメンバーがどのように相互作用するかについては、さまざまなシナリオや組み合わせがあるので、質問に直接答えることはできません。 それは、組織のIT部門とその傾向、そして何を達成しようとしているかによりますし、 最終的にこのインフラにホストされるコンテンツやワークロードの種類によるからです。

Mike Maney: APIの回での説得力のある話に納得しましたが、 あなたが話していたことの一つは、スキルセットについてでしたね。 一部のハイパースケール企業が多くの人材を吸い上げてしまうため、これが業界の誰にとっても大きな課題となっているとのことでした。  

では、マルチクラウドの世界では、予算が限られている新興企業や中小企業でも、大企業と同じようにマルチクラウドの恩恵を受けることができるのでしょうか。 また、最高のベンダーを求める欲求が予算の制限を超えないようにするにはどうすればよいのでしょうか。  

Phil Shih: 確かにそれは課題です。 IT部門のリソースが少ない組織と多い組織には、常にそのようなギャップがあります。大きな組織のIT部門は多くの人にトレーニングを受けさせることができ、そのトレーニングや認定を受けるまでの忍耐力もありますが、小規模な組織ではそのような投資はできず、それを待つだけの時間的余裕もありません。  

大企業が、たまたまマイクロソフトの製品を使っている他社を買収した場合、買収先の企業には、すでに何年も前からAWS を利用しているチームがあるかもしれません。最初はシャドーITとして始まったものが、次第に正式なものになって 構造化されたりなどです。 

一方、中小企業ではそのような余裕はないでしょう。 そのため、特定の用途にはパブリッククラウドプラットフォームを利用したり、代替プラットフォームを利用して他のサービスプロバイダー指向のクラウドを利用したりして、異なるタイプの体験をしています。 それは単に投資ができないためで、自社のニーズに合い、すぐに取りかかれるものであれば、長く待つ必要もなく、必要な支援を受けることができるからです。 

そして時間をかけて成長していく中で、大企業が行っているような、雇用、トレーニング、忍耐して待つことや投資などを行っていきます。 そのギャップを埋めることはできないかもしれませんが、 私が思うに、これはマルチクラウドの概念を定義し、その全体像を強調するものだと思います。「画一的なものではなく、 一律でもなく、組織はそれぞれの方法で消費し、異なるパターンに従うことになる」ということでしょう。

Mike Maney: 「ベターフィット」という言葉を、市場でよく耳にするようになりましたし、お客様やパートナー、そして他のプロバイダーからもよく聞かれる言葉だと思います。多くの企業が必要としているコアテクノロジーやコア機能、製品の多くは、一律ではなく、固有の要件を持つ大規模な企業のことを話しているわけではないからです。 ただ、これらの共通要素は基本的にコモディティ化してきていて、 

LinodeとDigitalocean、あるいはAWS 、全体的に同等です。 また、これはインフラの話であって、量子コンピューティングの話ではありません。 先日、多くの世論調査を行っているClearPath Strategies社の担当者と話していたとき、彼らは世界中のおよそ800人ほどの開発者を対象にしたグローバルな調査を行ったのですが、その結果、ベストフィットのアプローチに戻ってわかったことの1つは、企業は今、似通ったサービスがあることで、ベンダーを選ぶことができ、さらに自分たちの価値観に合ったプロバイダーを選び始めているということです。  

さて、この研究で判明したことは、何よりもまず、人々は「自社のインフラをきちんと稼働させたい」と思っているということです。 きちんと アップされていて、 稼働しているのか。 そして、仕事をこなせる状態なのか、 ということです。 これが最重要です。 しかし、もう少し進むと、彼らは、必ずしもこのプラットフォームに固執しているわけではないということがわかります。 もし顧客サービスに問題があったり、パフォーマンスが低下したり、会社や個人の価値観に合わないと思ったら、 

他にもプロバイダーはありますし、それらに移るでしょう。 これは以前とは異なる兆候 です。 この業界で見られる新しい兆候で、 昔、IBMを買ってもクビにならなかったのと同じです。ハイパースケールレベルの選択肢ができたことは良いことだと思います。 これはこの業界にとって良いことです。

Phil Shih: 同意します。 短期間で基準が上がったのだと思います。 コンピュータの歴史を振り返ってみると、既製のクラウドインフラサーバーが登場してから15年ほどしか経っていません。 そして、生のコアコンピュートとストレージの観点から、同等と言えるレベルにまで基準が上がり、 そして、基本的な層がクラウド全体で同じような能力を持ち始めたのです。 手に入る製品のレベルも分かってきて、価格は製品によって異なりはしても、5~10年前ほどではないということになります。 価格設定にも透明性があり、ほぼ同等です。  

他にも達成しなければならないことがあり、 そのサービスで達成できないのなら、他のサービスに移っても、必要なものを得ることができるでしょう。 あなたがおっしゃったように、パフォーマンスの問題に対処するならそれに合わせたロケーションが必要になるかもしれません。 追加のサーバーや、そこでは得られない追加のサービスが必要だったり、何か問題が発生して必要なサポートを受けられなかったかもしれません。 そういったことにも対処していくでしょう。 歴史的に見ても、移設するのは難しくて大変なことです。 

私の会社では先日、メールプラットフォームの移行を行いましたが、これは決して毎日楽しみにしていたわけではありませんでした。 インフラを引っ越しを想像してみてください。 同じように頭を悩ませることになるのですが、同時に、プラットフォーム、テクノロジー、ツールは進化し続け、改善され続け、簡単にできるようになり続けています。 ですから、私はあなたの見解に同意しますし、 私もそう思います。 そして、私たちはその方向に向かっているのでしょう。

Mike Maney: 電子メールよりも、インフラ の方がはるかに気楽に動かせるように思います。 メッセージを1つ失うだけで、気が狂いそうになりますよ。 今、複雑さについて話していますね。 特にマルチクラウドの世界では、その懸念はますます大きくなっていると思います。 そのようになったとしても、物事は複雑になる可能性があります。 クラウドユーザーの93%がマルチクラウド戦略を採用しているという調査結果がありますが、80%の組織が「複雑さはマイナス面だ」と答えています。 

Deloitte社によると、クラウド利用者の約半数(47%だったと思います)が、クラウドの混乱が自社の収益にとって最大のリスクであると答えています。 また、当社の収益改善担当副社長である John Hillに聞いたところ、「2010年代がクラウドへの移行を目的としていたとすれば、2020年以降はポータブル性の高いスタックを実現することが目的になるだろう」という言葉が返ってきました。  

オープンソースよりもスタンダードで育った人間としては、先日、Rob Hirschfeldと「オープンソースではなく、スタンダードが重要で、 スタンダードこそがすべての機能を実現している」という話をしていました。 そこで私が思ったのは、マルチクラウドは本質的に複雑なものなのか? あるいは、この文脈で複雑さとは何を意味するのか?ということです。

Phil Shih: 複雑さにはさまざまなレベルやサイロがあると思います。 あるレベルでは、サービスがどれだけ簡単に利用できるかということがあり、 ツールの使い勝手や、インフラ やワークロードをどのくらいの速さで立ち上げることができるのか。 そして、それをどのように強化し、管理し、最適化するか。 これは、インターフェースや使いやすさ、技術の質やデザインによって解決できる、複雑さの中核をなす要素だと思います。

また、人間的な要素としては、複雑さに直面することが多くなってきた組織が、自分たちの組織を見渡して、これはうちのチームが扱えることなのか。 もう少し複雑でなく、使いやすいサービスを見つけるべきか。 それとも、市場で見かけるようになったマネージドサービスやプロフェッショナルサービスの助けを借りるのか。と選択していくようになっています。 

そして、複雑さの問題のもう一つの側面は、あなたが言及したように、相互運用性の問題だと思います。 これらのクラウドは、それぞれのサイロの中で構築されていて、 ベンダーロックインや、あるプラットフォームに固執してすべてのデータをそこに置くことになり、移行が非常に困難でコストもかかる、というようなことが言われてきました。 

詳細を話すつもりはありませんが、これらのプラットフォーム間の相互運用性を高めるには、まだ初期の段階にあります。 Azure、Microsoft Azure、Oracle Cloudインフラ 、OCIが行ったことをご覧になれば、世界の特定の場所で一定のレベルの相互運用性を実現していることがお分かりになると思います。 しかし、これはまだ始まったばかりのことであり、改良が必要であり、採用には時間がかかることは間違いありません。 

しかしこれは、業界標準の状況、相互運用性、異なるクラウドプラットフォームを結びつける能力という点で、私たちが置かれている状況を反映していると思います。 まだ成長過程にあり、 それには時間がかかることだと思います。 今のところは、組織のスキルセットを異なるプラットフォーム、あるいは異なるタイプのクラウドプラットフォームに合わせて、より統合された方法ではなく、シンプルに、別々に運用していくべきでしょう。 これは今後発展していくでしょうし、おそらくこれから先10年の大きなテーマのひとつになると思います。

Mike Maney: そうですね。 これは今週、話題になりましたね。 Wall Street Journal紙の大きな記事では、先ほどの話に戻りますが、人々は今、大手3社だけが選択肢ではないと気づき、「Amazon にこだわる必要はないのではないか」と言っています。  

亀裂が生じ始めているのです。 その記事の大きなテーマの1つは、エコシステムのロックインの問題で、ある幹部が「すべてのプロバイダーは、あなたを自社のエコシステムに閉じ込めたいと思っている」という内容でした。 私は思わず、「いや、それは明らかに間違っている!」と言ってしまったほどです。 すべてのプロバイダーがそれを望んでいるわけではありませんし、Linodeに関して言うと、それは私たちのビジネスモデルではありません。 

当社では、人々が簡単に出入りできるようにしたいと思っていますが、 他の大手プロバイダーはそうではないと思います。 ゴキブリホイホイの例えで言えば、お客さまを招き入れ、当社の製品に夢中になってもらい、そのエコシステムにとどめておきたいということで、ビジネス戦略としては良いかもしれませんが、多くのお客さまにとってはあまり良いものではないかもしれません。 ロックインについては、多くの人が1年前までは、ロックインは存在しない、マルチクラウドも存在しないと考えていました。 それが突然、マルチクラウドやロックインが注目を集めていると言い出したのです。 実際にそうなっています。 

Phil Shih: 大きなプラットフォームはこれまで以上にその傾向が強くなるでしょう。 MicrosoftとOracleが、より積極的な動きを見せているのが良い例だと思います。 しかし、かなりの成功を収めているAWS も、クラウド上でVMwareを実行するのを容易にすることを決定しました。 これは、レガシーなインフラ やツールセットを使っていてもまったく問題ないし、サポートする必要があるということを認めたものだと思います。可能であれば、より広い範囲をオープンにしたり、対応したりする必要があるでしょう。  

Mike Maney: 「Reinvent」では、何人のプレゼンターが自分のスライドデッキに「multicloud」という言葉を実際に入れることができるか、という点で勝負が決まります。 それがパラメータになるはずです。  

クラウドのコストを理解して抑制することも、マルチクラウド戦略の一環ですね。 コストの最適化は、多くの人がマルチクラウドを活用したいと考えている理由のひとつだと思うのですが、 Andreessen Horowitz氏が、ほとんどの企業がクラウドに過剰な費用をかけていると主張し、ネット上で激しい議論を巻き起こしました。 つまり、マルチクラウドの導入が進むと、クラウドのコストが増大するのではないかという懸念が高まっているのです。 これは誤解なのでしょうか。 それとも、この懸念には真実があるのでしょうか?

Phil Shih: 多分、両方の要素があると思います。 でも、私の考えでは、そのようになる必要はありません。 しかし、それにはプロセスを経る必要があります。 このモデルを採用する際には、多少の学習曲線が必要になるのは事実だと思います。つまり、組織がこのモデルを試す際には、学習曲線や慣れ、初期段階での採用という理由で、いくつかの障害や課題にぶつかり、結果としてコストオーバーになることはあるかもしれません。 しかし、必ずしもその過程を経る必要はないでしょう。 

時間が経てば経つほど、実践が完璧になると思います。 また、世の中にはベンダーに依存しないテクノロジーがあり、 サービスプロバイダーやクラウドプロバイダーは、ダッシュボードや管理ポータルにこれを組み込んでいます。 誰がより良い仕事をしているか? どのプロバイダーが、顧客やその組織のニーズに沿って、サービスを利用できるようにしたいと考え、出入りすることも可能にしたいと考えているプロバイダーが、その経験を本当に理解しやすく示し、オープンな理念として強調しているのか。 

これは本当に面白い機会なのではないでしょうか。 そしてこれが、重要な差別化ポイントとして、似たようなクラウドサービスの中から、特定のサービスを際立たせるのだと思います。 なぜなら、クラウドサービスの中には、単一のプラットフォームだけでなく、他のクラウドでも、インフラ を横断して、いかにコストを最適化し、管理するかという問題に対処できるものがあるからで、 それはオンプレミスでも、より伝統的なタイプのインフラ でも対応します。 しかし、これらのツールと、誰が最高のユーザーエクスペリエンスを実現するのかということは、 あなたがおっしゃったように、2つのクラウド、3つのクラウドへと移行し始めた組織に、この問題が忍び寄ることで、興味深い機会が生まれると思います。

Mike Maney: そうですね。必ずしもクラウドの数ではなく、コストを最適化し、何をしているかを可視化すること、 そして、それを実際に管理するためのツールを持つことが重要ですね。 そうすることで、クラウドに無駄な費用をかけたり、使いすぎたりすることがなくなるのです。 オブジェクトストレージのためにAWS に莫大な費用をかける必要があるのか、それとも同じパフォーマンスではるかに低コストの別のプロバイダーを利用して、そこに保存することができるのか、 

それがどのように機能するのかなど、 この分野は私にとって非常にエキサイティングなものであり、今後も大きな課題となるでしょう。  

Phil Shih: そうですね。 同感です。 

Mike Maney: そろそろまとめに入りますが、クラウドの未来は、特定のプロバイダーに依存するのではなく、プロバイダー間で価値を生み出すことにあります。 開発者にとっても、お客さまにとっても、あらゆる種類のサービスをすぐに利用できるというのは、ある種の至高の喜びと言えるでしょう。 現在、ベンダーはマルチクラウドをサポートしていて、 その方向に進んでいるのでしょうか? ここで大きな問題となるのは、ベンダーがマルチクラウドについて何を語るか、そしてそれがマルチクラウドをどのように実践し、推進しているのでしょうか。

Phil Shih: いい質問ですね。 簡単な質問でもありません。 しかし、インフラ サービスやエコシステム全体を考えると、会話や物語、業界の方向性はよりその方向に向かっていると思います。特に、クラウドインフラ プラットフォームと連携しているわけではなく、管理や実現を支援しているサービスプロバイダーのことを考えるとなおさらでしょう。  

例えば、X社のサービスプロバイダーを想定してみましょう。 社内にはプライベートクラウドとベアメタルがあり、AzureやAWSをサポートするかもしれませんが、その管理機能やポータル機能はパブリッククラウドにも対応していなければなりません。 サービスプロバイダーの仕事は、最終的には可能な限り統合され、将来的には相互運用できるようなエクスペリエンスを構築することです。 

そのため、特定のクラウドプラットフォームに依存しない独立系のサービスプロバイダーに注目することは、パブリッククラウドの方向性を示すことになると思います。 大規模なプラットフォームのいくつかは、この方向に進んでいます。  

そして、Linodeのように、より俊敏な組織は、より大きなステップを踏み出すことができ、おそらくペースを上げてその方向に向かって走ることができるのです。 テクノロジーの世界ではよくあることですが、小規模で機敏な組織、プロバイダー、独立系、非同盟系とでも呼べばいいのでしょうか、そういった組織がペースを上げ始め、大企業をその方向に引きずり込むことになります。 

しかし、クラウドの開発段階では、単一のプラットフォームがクラウドを駆逐してしまうのではないかと心配されていたと思いますが、 そのような心配は今はもうしていません。 私たちは、未来はもっと多様で、もっと競争の激しいものになると認識しています。  

実際の使用例が増えてくると、顧客からのベンダーへの要求が増えるに従い、勢いがついてくると、巨大企業が少しずつその方向に進み、物事が加速していきます。 雪だるま式かどうかはわかりませんが、確実に加速していくでしょう。 そして、これは自然な流れだと思います。

Mike Maney: 「1つのクラウドがすべてを支配する」というご意見は、まさにその通りです。 業界内の複数の調査によると、ビッグ3は依然としてビッグ3ですが、市場の3位と4位は代替クラウドのカテゴリーが占めていることがわかっています。 我々、DO、Hetzner、OVH、その他数社で、 

この代替ハイパースケール層は、市場の3分の1を占めています。 それは健全なこと ですよね。 みんなのための大きなパイがあるわけですから。 大きなパイです。 これは良いことだと思います。 

最後の質問をさせていただきたいと思います。 企業はどのようにして、個々のプロバイダーが提供するものを見るのではなく、 クラウドエコシステム全体のあり方を考えるようになるのでしょうか? 

Phil Shih: いい質問ですね。 ここで、「ベストフィット」という言葉を思い出してみましょう。 どうすればベストフィットを見つけられるでしょうか? 組織として、インフラでやろうとしていることをどうやって最適化するか? どうすれば最も効率的になるのか? どうすれば最も効率的になるのか、どうすればインフラの基礎となるワークロードに最適なものを見つけられるのか? 

パフォーマンスやアナリティクスの分野でも、データを理解して価値を高め、それを具体的な行動に移してビジネスの成果につなげるためには、どのようなツールが必要なのでしょうか。 インフラの機能だけではなく、他に何があるのかを理解することで、その方向に考え方をシフトさせることができると思います。 

インフラ からは、他にどのような価値を得ることができるのでしょうか。そこには、組織が外挿して、ITの意思決定者が意思決定できるように提示し、ビジネス上の成果を促進できるようなデータがたくさんあります。 そこで私は、インフラ 、パフォーマンスについて考え、データや情報を活用してビジネス上の成果につながる付加価値を生み出すことを考えています。 このような考え方の変化は、すでに始まっていると思います。  

しかし、企業はもっと上の視点で考え、それを原動力とする必要があります。このような考え方の変化が起きれば、ユーザーの意思決定や、調達、導入、インフラの管理方法も、それに伴って変化するでしょう。 このような考え方をすれば、マルチクラウドの利用に関する意思決定も変わってくるはずです。 率直に言って、このような変化はごく自然な副産物になると思います。

Mike Maney: 素晴らしい洞察力です。また楽しい会話ができて、本当に楽しかったです。 ありがとうございました。 またお話しできるのを楽しみにしています。 

Phil Shih: こちらこそ、 お招きいただきありがとうございました。 またこういった会話を持ちましょう。


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